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クマの話

クマの話_a0032559_11301059.jpg今から10年前、1996年8月8日、星野道夫(享年43歳)はロシア・カムチャッカ半島南部クリル湖畔でヒグマに襲われて亡くなった。
このニュースを初めて聞いたときは「何故、あの星野さんが・・・」と僕もかなりショックを受けた。
ショックを受けた人は決して少なくなかったようで、事故の真相を知ろうとした多くの友人達の努力で本書が生まれた。事故が関係者に与えた強い衝撃から、この本はすぐに世に出せる性格のものではなく出版まで10年と言う歳月がかかった。
事故当時の日本TV局のスタッフ、ロシア人ガイド、アメリカ人のカメラマン、次々明らかになる新事実、ミステリアスな展開に本の冒頭からすっかり作者のペースに乗せられて熱くなってしまった。
後半は星野道夫の人となりと生前、情熱を燃やしていたことの紹介・・・・・・話はクマを含む動物学だけでなく、森林生態学、エスキモーや民族大移動の歴史、ロシア、北米双方に残る「ワタリガラスの神話」と広がってゆきます。
(結論は読まれる方のために伏せておきます。)

それにしても何故、彼の言葉はこんなにひとつひとつがきらめいていて、心にしみこんでいくのだろう。最後にアラスカでの追悼集会で紹介された彼の文章を転載します。

もしもアラスカにクマが一頭もいなかったら、僕は安心して山を歩き回ることが出来る。
何の心配もなく野営できる。
でもそうなったら、アラスカはなんてつまらないところになるだろう。
人間は常に自然を飼いならし、支配しようとしてきた。
けれども、クマが自由に歩き回るわずかに残った野生の地を訪れると、
僕達は本能的な恐怖を未だに感じることが出来る。
それはなんと貴重なことだろう。

by kounoproclimb | 2006-12-04 08:28 | その他
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