感謝されない医者

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もっと自分の手足を大事にしろ
手術した患者から感謝されたことは極めて少ない。
指を切り落とされて「ありがとうございました」もないからだ。
最初は凍傷の治療に関心があったけど、もううんざりしている。

日本のほとんどの医療機関はHPをもち、その診療について情報を載せている。
私は凍傷治療の権威でも、第一人者でもない。
誰が載せたのか知らないがそう書かれたために日本全国から患者がやってくる。
そればかりでなく日本の登山者は世界中で活躍しているので、地球の裏側からでも、相談の電話が夜中でもかかってくる。
患者は医者を選べるが、医者は患者を選べない・・・・・・・

200人までは記録に残していたが、イヤになってもう数えていない。
きっと800人は優に超える凍傷患者を見てきたことになる。
私は本当に凍傷の切断手術が大嫌いだ。もうたくさんである。


作者の言葉をずっとまとめてみたが、とても辛辣な文章が並んでいる。
しかし、自身も登山家であり、34年前には、第2次RCCエベレスト登山隊にもドクターとして参加していて実は登山者への眼差しは暖かい。
それは、親交のある登山家とのインタビューを見てもすぐ分かる。
本当は「凍傷の専門家」ではなく、「災害救援医療」が専門だそうだ。
今度は『災害ドクター 世界を行く』が読みたくなった。

凍傷治療を始めて30年になる整形外科医がいる。これまで800例近い患者を診察し、いまでも年間20例以上を診察し、その数は減るどころか、増えつづけている。退院時、唯一感謝されないのが凍傷の医者。患者に「指を切られた」という意識が強いからだ。本書は、そうした患者の心理に言及しながら、凍傷の最近の治療法まで綴った、「感謝されない医者」の独白である。

目次
■はじめに
1_診療依頼
2_初めての凍傷例
3_凍傷患者騒動記
4_剱沢SOS
5_切断
6_忘れえぬ患者
  加藤保男/吉野 寛/中島俊弥/木本 哲/大場満郎/山野井泰史、妙子夫婦
7_凍傷の病態
8_山に想う

著者:金田正樹(かねだ・まさき)1946年、秋田県生まれ。1971年、岩手医科大学卒業。整形外科医として、秋田大学整形外科、関東逓信病院、聖マリアンナ医科大学東横病院を経て、現在、向島リハビリクリニックセンター長。登山は高校時代からはじめ、1969年、西部ヒンズークシュ無名峰初登頂、1970年、中部ヒンズークシュ無名峰初登頂などの記録を持ち、1973年、第2次RCCエベレスト登山隊にドクターとして参加。海外の災害救援も、1985年のメキシコ地震、1990年のアフガン紛争、1991年の湾岸戦争、1996年のバングラデシュ竜巻災害、2002年イラク戦争などの医療支援に当たる。NPO災害人道医療支援会理事。

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by kounoproclimb | 2007-08-02 20:17 | その他
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