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ディア・ドクター

今、日本映画が面白い。

西川美和監督の映画をみるのは2作目になる。
前作は「揺れる」
オダギリ・ジョーと香川照之の緊張感のある演技と原案、脚本、演出をひとりでこなす西川監督の手腕が絶妙にあいまって長編映画2本目の新人監督と思えない出来栄えだった。

さて、今回の作品は落語家の笑福亭鶴瓶をはじめての主役に迎えたことでマスコミの話題を呼び、
平日の単館ロードショーなのに満員御礼の人気でした。

山間部、住民のほとんどが高齢者の村、たった一人の医者が突然、失踪した。
物語は農村の高齢化、僻地医療、いろんな問題が複雑に絡み合いながら進んでいく。
突然、逃げ出した主人公を非難するでもなく、庇うわけでもなくユーモアを交えながら
話はどんどん進んでいく。
映画のサブタイトルは「その嘘は罪ですか?」だったけど、そんなに単純な話ではない。
かなり病気が悪そうな老婦人には、超ベテランの八千草薫、上手いと言うのを通り越して
艶っぽさすら感じる。
本物と偽者、嘘と真実、その間で揺れ続ける人間心理・・・・・
ここにいたって贅沢で尚且つ控えめな演技の豪華脇役陣の中で
鶴瓶だけが本物の役者ではないというキャステイングが伏線となって生きてくる。

ボクがもしサブタイトルをつけるなら、
「あなたは本物ですか?」
by kounoproclimb | 2009-07-23 09:33 | その他
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