フレッド・ベッキー

神戸ミントで行われたグラビティリサーチとパタゴニアの合同イベント 『DIRTBAG: THE LEGEND OF FRED BECKEY』の上映会に行ってきた。
フレッド・ベッキーを初めて知ったのは、PATAGONIAのカタログに掲載されていた1枚の写真(下の写真)からだ。
これを見ただけでDIRTBAGの意味が大体わかる。
行く前から、大体わかっていた事だけど、イタイ映画だった。
いや、決して80歳を超えた老人が杖を突きながら、山に登り、震える手でクライミングしている映像が見るに堪えなかったからではない。
それどころか映像も、映画の内容も素晴らしかった。

でも、次から次へといろんな有名クライマー(レイトン・コア、イヴォン・ショイナード、コンラッド・アンカーなど)が登場してベッキーについて語る昔話を見ながら僕は全然違うことを考えていた。

クライミングツアーに行くと数日だけ訪れるのと1週間の旅、数か月、そしてそこに住み着いて暮らしてみるのでは全然違う風景が見えてくる。
アメリカは自由な社会と思われているが貧乏で金のない長期滞在者に取って、決して居心地のいい場所ではない。
僕の少ない体験では、あちこちの岩場を転々として、また同じ場所に戻ってきたときにマウンテンショップのおやじに「いつまでいるんだ。日本に帰ってまともな仕事をしろ!」といわれたし、キャンプ場のおばさんにはどこにテントを張ってもいいといわれたのにWEBの予約者が優先といわれ、あちこちに移動を余儀なくされた。まあ、追い出されなかっただけましなんだろう。或いは僕の風体がよほど貧相だったのかもしれない。
話を戻そう。たくさんのクライマーが出て来てフレッドベッキーを称賛すればするほど、なんとも言えない居心地の悪さを感じた。彼の生きざまは真似しようとしても誰も出来ない唯一無二の存在、でも決してそんなに称賛されるほど、立派なことをしてきたわけではない。本人はそう思っていたからこそ80歳を越えるまで、一切の取材を断り続けてきたのではないだろうか?

そんな事ばかり、考えながらぼうっと見ていた。
終わってから彼の本を買ってみたくなったが、「そんなことより、今度一緒に登りに行こうぜ!」そんな声が聞こえたような気がした。
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by kounoproclimb | 2018-04-22 11:34
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